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自治体戦略2040構想 ー文京区の未来を考えるー

投稿日:2020/11/07by 

日本の将来を考える上で、自治体や国がどのように変化していくのかを知り、その対策について考えていくことは家族や自分自身を守る上で重要となっています。今回は、総務省が出している自治体戦略2040構想を中心に将来どのようなことが起こると予想され、私たちはどのように変化してく必要があるのかをみていきましょう。
※今回は文京区に関する記事のため東京圏を中心として取り上げています。

 

自治体戦略2040構想」とはどんなもの?

では、「自治体戦略2040構想」とはどのようなものなのでしょうか。総務省は「自治体戦略2040構想」を以下のように定義しています。

自治体戦略2040構想は、2040年ごろにかけて迫りくる我が国の内政上の危機を明らかにし、共通認識とした上で、危機を乗り越えるために必要となる新たな施策(アプリケーション)の開発とその施策を最大限に発揮できるようにするための自治行政の書き換えを構想するものである。

文京区も自治体の一つですので、例外なくこの施策の対象となります。

 

文京区や地方自治体に最も影響する問題ってなに?

自治体が持つもっとも顕著な問題として「人口減少問題」があります。まずは現在(2015年)の日本の人口を年齢別に分けたグラフを見てみましょう。

現在(2015年)は、赤枠で表示される「団塊の世代」を水色の枠で強調されている「団塊ジュニア世代」が支える形となっています。この時点では、「団塊の世代」215.2万人に対し「団塊ジュニア世代」198.9万人が支えています。この時点では、前期老年者人口と生産年齢人口のバランスが取れているように見えますね。

一方2040年ではどうなっているのでしょうか。以下のグラフを見てみましょう。

 

2040年では前期老年となる「団塊ジュニア(水色枠)」と後期老年となる「団塊の世代(赤枠)」の世代を支えている世代がほとんどなくなっているのがわかります。グラフでは、黒枠で示されている2013〜2015年生まれの世代をみると102.7万人となっており「団塊ジュニア世代(66〜69歳)」182.7万人と「団塊の世代(91〜93歳)」80.4万人に対して非常に少ない数といえます。

そのため、総務省が「人口減少下において満足度の高い人生と人間を尊重する社会をどう構築するか」ということを課題として掲げ、このような施策を打つ必要があるのかが見えてきますね。

 

2040年ごろにかけて迫りくる我が国の内政上の危機とその対応

総務省では、2040年ごろまでの個別分野の課題に対して以下の6つの視点から問題を捉えています。

1. 子育て・教育 2. 医療・介護 3. インフラ・公共交通 4. 空間管理・防災 5. 労働力 6. 産業・テクノロジー

今回は文字数の関係で扱いませんが、「自治体戦略2040構想」では人口減少が起こり続けた場合にこれらの分野ででてくる具体的な問題を取り上げています。

 

文京区を含める自治体で2040年ごろにかけて迫りくる危機

では、自治体では、どのようなことが起こると考えられるのでしょうか。「自治体戦略2040構想」では、主に以下の3つの課題に焦点を当ててとりあげています。

 

1. 若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏

2. 標準的な人生設計の消滅による雇用・教育の機能不全

3. スポンジ化する都市と朽ち果てるインフラ

次に、それぞれの危機について具体例と考えられる取組みについて見てみましょう。

 

1. 若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏

まず一つ目は都市集中型、あるいは東京一極化がもたらす高齢化の問題があります。そのために起こりうる課題とその取組みについて見てみましょう。

東京圏は入院・介護ニーズの増加率が全国で最も高く、医療介護人材が地方から流出する

東京圏では人口増加に伴い入院・介護といったニーズが増加していくと考えられます。そのため、それまで地方にいた医療従事者が都市部に移ってしまうということが問題として挙げられます。

対策としては、元気な高齢者が支援を必要とする高齢者の支えてになる仕組みづくりや、圏域内の自治体の連携に要るサービスの供給が考えられます。また、AIによる診断などの技術革新が人手不足を緩和する要因となることが期待されています。

 

東京圏には子育ての負担感につながる構造要因が存在し、少子化に歯止めがかからない

就労上の負担のみならず、地域間のコミュニケーションの難しさや金銭面の負担といった問題のように都市部には子育ての負担感に繋がる要因が多数存在します。それらの問題が負担となり、子どもを産まないといった若者の選択が少子化へと繋がる恐れがあります。

対策としては、共働き社会に対応した保証サービスの拡充や、より安定的な就労環境とワークライフバランス、長時間通勤を減らす環境整備などの複合的な少子化対策を実施することが挙げられます。

経済や政治での都市のメリットが育児に対してのデメリットとみなされてしまう社会のあり方は以前から言われていることですが、都市部で働く人々に育児をしている人々からの情報が入ってきづらい状況も要因の一つと言えそうですね。

 

2. 標準的な人生設計の消滅による雇用・教育の機能不全

大企業でさえ終身雇用制度が終わりを迎えつつある現代では、人生設計についても再度見直す必要があるといえます。それでは人生設計や教育に関する課題と取組をみてみましょう。

世帯主が雇用者として生活給を得る従来の世帯主雇用モデルがもはや標準的とはいえない

男性が仕事で稼ぎ、女性は子どもを育てるといった昭和や平成に一般家庭で常識とされた家庭のあり方は、現代では標準ではなくなりつつあります。

そのための求められる取組みとしてとして、男性も女性もともに年齢の変化に対応したイノベーションをもたらす起業を促進すること、無理なく活躍できる柔軟な就労システムの構築、共助の領域を広げ多様なバックグラウンドを持つ様々な年齢層の人が必要なスキルを身に付けながら力を発揮できるようにするための新たなスキームと就労モデルの構築などがあります。

教育の質の低下が、技術立国として、国際競争での遅れにつながるおそれ

標準的な人生設計がなくなってしまうことで両親や家庭の事情といった問題から子どもが安定した教育が受けられない場合、将来的に日本の国際競争での遅れに繋がる恐れがあります。

対応策としては、量的ニーズの減少を質の向上の契機と捉え、良質な施設を残しつつ適正な配置を行い、質の高い教職員を確保し、子供たちに充実した教育環境を提供すること。あるいは、学び直しや高度なSTEM教育(科学・技術・工学・数学)の場として、地方において洗練された高等教育機関を確保することが挙げられます。

現在の日本は労働時間に対し、GDP(国内総生産)の成長率が低いなどのデータからもわかるように質の向上が求められているのを感じますね。一方で、質の高い学校の教職員とはどのようなものなのかを見直す必要があるのかもしれません。

 

3. スポンジ化する都市と朽ち果てるインフラ

スポンジ化とは、都市の内部で空き地や空き家がランダムに数多く発生し、多数の小さな穴を持つスポンジのように都市の密度が低下することを指します。ではスポンジ化による課題と対策をみてみましょう。

多くの都市で「都市のスポンジ化」が顕在化、放置すれば加速度的に都市の衰退を招くおそれ

都市では人の流れが速いため、適切な管理がされていないと空き家、空き地となって放置されることが問題として浮かび上がってきます。

対策としては、より安全で医療や介護、買い物などの生活機能が近隣で維持された空間に集住することで、自然災害のリスクを減少し、高齢者にも住みやすい空間を形成。警察力・消防力の効率的な運用で、治安・救急面での安心も確保することが挙げられます。

高度経済成長期以降に整備されたインフラが老朽化し、更新投資が増加

インフラの整備はそれほど大都市では問題になりませんが、地方自治体などでは人口減少がもたらす一つの問題と言えます。

対策としては、地域経済を牽引する都市機能や生活機能を確保するためDID(人口集中地区)における一定の集積を維持することが挙げられます。また、近年のIoTを利用したインフラ点検の省力化や活用方法の多様化により未然に防ぐことが挙げられます。

東京圏では都心居住が進むが、過度の集中は首都直下型地震発生時のリスクになる

首都直下地震発災次には避難所生活者が最大約460万人発生すると見積もられています。23区では収容力不足が危惧されています。

対策としては郊外を含めた圏域全体の構築などが挙げられます。

 

新たな自治体行政の基本的考え方

これらのことより将来は、労働力(特に若年労働力)の絶対量が不足することが問題となることがわかります。

新たな自治体のあり方としては、人口縮減時代のパラダイムへと転換が必要になってきます。AIやロボティクスを使いこなすスマート自治体への変換や、自治体・行政の標準化・共通化を行うことで人口削減に取り組むことが挙げられます。

また「自治体戦略2040構想」では公共私によるくらしの維持として、それぞれの暮らしを支える機能が低下することを前提としながら自治体は新しい人公共私相互の協力関係を構築する以下のようなプラットフォームビルダーへと転換することを課題としています。

 

 

自治体戦略2040構想 ー文京区の未来を考えるー まとめ

このように「自治体水準での戦略」を知っておくと、自分たちが将来受けることになる施策の意味が少しわかるようになります。また、このような構想は様々な理由から前倒しされて私たちに変化を求めてくることも珍しくありません。このような起こりうる将来の課題をあらかじめ知っておくことで、いざという時のために対処できるようにしておきたいですね。文京つーしんでは今後も皆様の役に立つ情報を配信していきますので、引き続きよろしくお願いします。

 

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