東京に住んでいるかたや東京を利用するかたは、仕事や余暇で都内の様々地区を利用するため、都知事選や区長選が近づいてくると自分に関係がある地域のことに関心が出てきますね。文京区在住でなくとも、文京区で働いている場合などでも普段気にせず利用している地域の政策を知ることで普段の生活に新しい発見があるかもしれません。
そこで、今回は文京区の政治・区政についてとりあげてみました。
文京区の将来都市像「文の京(ふみのみやこ)」とは?政治と関係があり?
文京区民ならば一度は耳にしたことがある「文の京」とはどのようなものなのでしょうか。
文京区は「文の京」を以下のようにまとめています。
これまで文京区は、「文教の府」といわれ「文化の香り高いまち」をめざして発展してきました。これに寄せる区民の誇りと愛着を大切にし、そのうえで区民と区が時代の大きな変化に適応しつつ、可能性に富んだこの地を、新たな洗練と成熟の段階へとさらに発展させていく都市自治の姿を「文の京」と呼びます。
文京区では、2010年(平成22年)6月に区の「基本構想」を新たに策定し、文京区の特性を生かした将来都市像を”歴史と文化と緑に育まれた、みんなが主役のまち「文の京」”として打ち出しました。
また、2020年には2010年に策定された「文京区基本構想」から10年目ということもあり、新たに”「文の京」総合戦略”を策定しています。
2010年の区政「文京区基本構想」について。文京区の政治
では「文京区基本構想」と新しく策定された”「文の京」総合戦略”とはどのようなものなのでしょうか。
2010年に策定された「文京区基本構想」は、文京区の目指すべき将来都市像を明らかにし、その実現に向けた、区政運営の理念を示すものでした。ここに掲げられた理念や将来都市像は、区を自立した都市として発展させていくため、区政のあらゆる分野や区民等の地域活動における共通の指針となっています。
文京区の「基本構想」の理念と将来都市像について
文京区の「基本構想」では以下の3つの「基本理念」と「将来都市像」が挙げられています。
1)みんなが主役のまち
「文の京」自治基本条例に掲げる区民、地域活動団体、非営利活動団体、事業者などと対等の関係で協力し、協働・協治をさらに推し進めます。そして、互いを尊重し合いながら、 「文京区のあるべき姿(将来像)」の達成に向け、持てる力を存分に発揮できるまちを目指します。
2)「文の宮」らしさのあふれるまち
区民一人ひとりが文京区に住み、働き、学ぶことに深い愛着と強い誇りを持つとともに、区と区民を含む新たな公共の担い手と力を合わせて発展させていく自治のまちを目指します。
3)だれもがいきいきと暮らせるまち
子ども、高齢者、障害者、外国人をはじめ、地域社会を構成するさまざまな人たちが人権を尊重し、互いの立場を思いやりながら行動するとともに、男女が性別にかかわりなく平等な立場で、社会のあらゆる分野へ参画することによって、一人ひとりが個性豊かにいきいきと暮らせるまちを目指します。 また、多様な生き方が選択・実現できるよう、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現に向けて、積極的に取り組んでいきます。
文京区の「将来都市像」としては以下のようなものになっています。
1)歴史と文化と緑に育まれた、みんなが主役のまち「文の京 」
これまで先人たちによって脈々と受け継がれ、区民の誇りの源泉ともいえる歴史・文化・緑を今後も引き続き大切に守り、活かしながら、多様な主体が対等なパートナーとして、ふれ合い、 支え合い、助け合える、みんなが主役のまちづくりを浸透させていきます。そして、あらゆる世代の区民が分け隔てなく、いつまでも、心豊かに、いきいきと、自分らしく暮らせる、さらに、 未来へ誇りを持って継承できる「文の京」の創生を目指します。
2010年の「基本構想」では、一応目標像のようなものは掲げられていますが区政の政策としては少し大雑把な感じがしますね。それでは新しい”「文の京」総合戦略”をみていきましょう。
“「文の京」総合戦略”とは、どのような政策・区政なの?
では、2020年に策定された”「文の京」総合戦略”はどのような政策なのでしょうか。総合戦略の概要と共にみていきたいと思います。
「文の京」総合戦略(令和2年度〜令和5年度)
「文の京」総合戦略では、基本構想の根幹となる理念や将来都市像を、あらゆる分野の共通の指針として継承しつつ、区が解決すべき主要課題を明らかにし、4年後の目指す姿を見据えた、取組の方向性や事業のロードマップとなっています。したがって「文の京」総合戦略は以下の図のように「基本構想」を基本とし「基本政策」「戦略シート・行財政運営」「年度別事業計画書」を一体化したものになります。
また、”「文の京」総合戦略”については、区の指針だけでなく、国の定めている「地方版まち・ひと・しごと創生総合戦略」・「Society5.0」や国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」といった総合的な視点や戦略を踏まえ、随時効果的・効率的な手段に組み替えられることも特徴のひとつです。
持続可能な開発目標(SDGs)について(外務省)
“「文の京」総合戦略”の「基本政策6項目」
文京区は基本構想に掲げる将来都市像「歴史と文化と緑に育まれた、みんなが主役のまち『文の京』」 の実現に向け、各施策を推進するための基本的な考え方として、6つの基本政策を示しています。
※基本政策6項目は、各分野の個別計画等との整合を図るとともに、SDGs17項目の視点を当てはめることで、既存の分野や組織の領域を超えた柔軟な発想により施策を推進します。
「基本政策の6項目」
①子どもたちに輝く未来をつなぐ
関連する分野:子育て支援、教育、青少年の健全育成
SDGsの視点:1. 貧困をなくそう 3. すべての人に健康と福祉を 4. 質の高い教育をみんなに 16. 平和と公正をすべての人に
②健康で安心な生活基盤の整備
関連する分野:高齢者福祉、障害者福祉、生活福祉、健康づくり、生活衛生環境
SDGsの視点:1. 貧困をなくそう 2. 飢餓をゼロに 3. すべての人に健康と福祉を 6. 安全な水とトイレを世界中に
③活力と魅力あふれるまちの創造
関連する分野:産業振興、文化振興、観光、交流
SDGsの視点:8. 働きがいも経済成長も 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう 17. パートナーシップで目標を達成しよう
④文化的で豊かな共生社会の実現
関連する分野:地域コミュニティ、生涯学習、スポーツ振興
SDGsの視点:4. 質の高い教育をみんなに 5. ジェンダー平等を実現しよう 10. 人や国の不平等をなくそう 17. パートナーシップで目標を達成しよう
⑤環境の保全と快適で安全なまちづくり
関連する分野:住環境、環境保護、災害対策、防犯・安全対策
SDGsの視点:6. 安全な水とトイレを世界中に 7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに 11. 住み続けられるまちづくりを 12. つくる責任つかう責任 13. 気候変動に具体的な対策を 14. 海の豊かさを守ろう 15. 陸の豊かさも守ろう
⑥持続可能な行財政運営
関連する分野:行財政運営
SDGsの視点:17. パートナーシップで目標を達成しよう
これらのことからも分かるように”「文の京」総合戦略”の「基本政策」は、「基本構想」を明確化した政策ということがわかりますね。続いて紹介する「戦略シート」はより具体的な問題解決に取り組む施策となっています。
“「文の京」総合戦略”の「戦略シート」について
戦略シートでは、基本政策の考え方を踏まえ、計画期間(4年間)における重要性・緊急性の高い54の主要課題について、課題解決に向けて組織横断的に取り組むべきことと、解決手段となる計画事業を明らかにします。
ここでは、基本政策の大まかな考え方5分類を挙げておきます。具体的な54の主要課題の詳細については、調べてみてください。54の一つ一つの課題について、「現状」、「関連する主な計画」、「計画期間の方向性」、「問題解決に向けて取り組むべきこと」がそれぞれ記されています。
基本政策1 子どもたちに輝く未来をつなぐ
1.妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援 2.保育サービス量の拡充・保育の質の向上 3.子育て支援サービスの安定的な提供 など
基本政策2 健康で安心な生活基盤の整備
14.介護サービス基盤の充実 15.【地域包括ケアシステムの深化・推進①】在宅医療・介護連携の推進 16.【地域包括ケアシステムの深化・推進②】認知症施策の推進 など
基本政策3 活力と魅力あふれるまちの創造
30.中小企業の企業力向上 31.商店街の活性化 32.消費者の自立 など
基本政策4 文化的で豊かな共生社会の実現
36.地域コミュニティの活性化 37.図書館機能の向上 38.東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の推進とレガシーの継承 など
基本政策5 環境の保全と快適で安全なまちづくり
41.誰もが暮らしやすいまちのバリアフリー化の推進 42.安全・安心で快適な公園等の整備 43.地域の特性を生かしたまちづくり など
“「文の京」総合戦略”の進行管理について
では、文京区の総合戦略や政策・区政はどのような人々が行なっているのでしょうか。
実は、総合戦略に掲げる主要課題を解決するための各取組については、庁内に設置する「基本構想推進委員会」における審議に加え、公募区民委員や団体推薦委員、学識経験者等により構成する 「基本構想推進区民協議会」を通じた区民意見等により、適切な進行管理を行っています。
わかりやすくいうと、委員会や大学の教授といった専門分野の方々が、文京区の政策を取りまとめているのですね。そのような専門家の人々が政策にたづさわることで、現在のような治安の良い区が保たれています。もちろん、その予算は皆様の税金や年金などのお金が使われているので、その件はまた別の機会にまとめてみたいと思います。
文京区の政治・区政のまとめ
いかがだったでしょうか。文京区に住んでいても、あまり現在の政策や区政に触れる機会がないので、「なんとなく過ごしやすい」「治安がいい」という漠然とした感じだけがあるかもしれません。住んでいる地域の政策を理解することで地域や行政への関心を高めていけるといいですね。文京つーしんでは皆様に役立つ情報を配信しておりますので、今後もよろしくお願いします。
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