文京区の人口統計資料によると、令和元年時点で文京区の人口はおよそ22万人となっています。これだけの多くの人口をうまく回し、より良い社会を築いていくためには文京区が様々な政策を行う必要がでてきます。それではそれらの政策や運営の資金はどのようなところから集められているのでしょうか。今回は、気になる文京区の財政状況についてまとめてみました。
文京区の財政状況
国や公共団体などが、お金を集める際には一会計年度の収入ということで「歳入」という用語を用います。これは企業でも同じく1年間にどれだけ収入があったをまとめて報告するところは決算報告と同じ考え方ですね。また、一会計年度の支出は「歳出」とよばれます。
文京区の令和元年(平成30年度)の普通会計決算について
今回は、令和元年(平成30年度)の普通会計決算を見ていきます。令和元年の文京区の歳入、歳出、繰越額は以下のようになっています。
歳入決算額 1,038億5,600万円
歳出決算額 978億600万円
次年度の繰越額 60億5,000万円
繰越額は、歳入(収入)と歳出(支出)の差額になっており、余った額は積立てて次年度に持ち越されます。
令和元年の歳入の内訳
それでは、令和元年の歳入の割合をみてみましょう。以下の円グラフが歳入全体に占めるそれぞれの科目、金額、割合を表しています。
歳入を大まかに分けると「一般財源」と「特定財源」に分けられます。上のグラフでは、水色の部分が「一般財源」にあたる科目で白地のものが「特定財源」にあたる科目となっています。
身近なところでいうと、文京区民の皆さんが払っている「住民税」は、一般財源(水色部分)の「特別区税」に分類されます。
ただ、このグラフだけを見ても文京区の歳入が多いのか少ないのか、多くなっているのか減っているのかはわかりませんね。このグラフが意味を持つのは、人口や政策、他の地域との比較といった面が関わってきます。それではそれぞれの用語についてみてみましょう。
「一般財源」ってなに。
水色の部分で表されている「一般財源」とは、お金の使い道が特定されず、地方公共団体の裁量によって使用できる歳入のことです。先ほどのグラフでは、「特別区民税」と「特別区交付金」が多く、それ以外の科目は全体的に多くないので「その他一般財源」にまとめられています。
では、一般財源の「特別区税」、「特別区交付金」、「その他の一般財源」についてみていきましょう。
一般財源の「特別区税」とは。
特別区税は、「特別区民税」「軽自動車税」「特別区たばこ税」「入湯税」の4項に分類されます。平成30年度の文京区の特別区税は337億円で、全体の歳入の32.4%を締めており、歳入の中でも一番大きな収入源になっているということがわかりますね。
「特別区民税」は、一般的に「住民税」と総称されている地方税のことで、東京23区(特別区)内での呼び方です。
特別区民税による収入は、人口90万人の世田谷区(文京区の約4倍)では1,200億円といった地域もあります。しかし、一人当たりが支払っている金額を計算すると特別区民税をそれぞれの区の人口で割った数字になってくるので、文京区が年間平均15万円に対し世田谷区は13.5万円と少し文京区の方が多いことがわかります。一方で、中央区では一人当たり年間20万円程度であることや港区(特別区税からおおよそ算出)は一人当たりの収入や住民税が高いことが計算できます。
一般財源の「特別区交付金」とは。
特別区交付金とは、都区財政調整制度に基づく交付金です。
東京都が都区間の財源配分と特別区相互間の財政調整のために交付しています。特別区交付金は、一般財源なのでお金の使い道を特定せずに、都や各地区との優劣を少なくすることを目的に交付されている金額のようですね。
具体的には、特別区交付金は市町村民税法人分、固定資産税及び特別土地保有税の3税を課税・徴収し、その55%を特別区の財政需要に応じて配分します。
その他一般財源
その他一般財源とは、「特別区税」、「特別区交付金」以外の一般財源の科目です。金額が割合的に少ないのでその他の一般財源とされています。
その他の一般財源には「利子割交付金」、「配当割交付金」、「株金式等談渡所得割交付金」、「自動車取得税交付金」、「地方譲与税」、「地方消費税交付金」、「地方特例交付金」、「特別区交付金」といった科目があります。
一般財源の年度別推移
決算における一般財源の年度別推移は以下のようになっています。
一般財源は、特別区税と特別交付金が5割以上を締めています。また、特別区税による歳入は5年連続して増加していることがわかります。これは文京区の納税義務者等が増加したことによるものと考えられています。一方、特別区交付金は、法人住民税の一部国税化の影響等により、28年度に21億円の大幅な減となりましたが、企業業績の回復等を背景として増加しています。
それでは、歳入のもう一つの分類である「特定財源」とはどのようなものでしょうか。
特定財源ってなに?
「一般財源」がグラフの水色部分であったのに対して、白地の科目が「特定財源」になります。
「特定財源」とは財源に対して、お金の使い道が設けられるものをいいます。使用制限のある国からの補助であったり、地方債などの一部が特定財源となります。
特定財源の具体例としては、「国庫・都支出金」、「繰越金」、「繰入金」、「その他特定財源」があります。
国庫・都支出金
国庫支出金は、特定の行政目的を達成するために、その経費に充てることを条件として、国が地方公共団体に交付する支出金です。
繰越金
繰越金は前年度までの積立金です。今回の文京区の歳入と歳出の余分については来年の繰越額(積立金)になります。
繰入金
一般会計と特別会計、または特別会計間で、一方の会計の収支不足を補塡するために他方の会計から充当される資金になります。
その他特定財源
「国庫・都支出金」、「繰越金」、「繰入金」以外で使い道が設けられている科目になります。「交通安全対策特別交付金」、「分担金及び負担金」、「使用料及び手数料」、「寄附金など」のうち使途が特定されているものをさします。
文京区の特定財源の年度別推移
決算における特定財源の年度別推移は以下のようになっています
「国庫支出金」や「都支出金」をはじめとする特定財源の総額は、前年度に比べ 27.2%、95 億円の増加となっています。これにより歳入全体が95億円増加しました。
文京区の歳入の推移
歳入決算における特定財源の年度別の推移は以下のようになっています。
歳入決算額は、前年度に比べ、12.4%、115億円の増となりました。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は文京区の財政の中でも特に「歳入」という点についてまとめてみました。都内の他の区でも歳入に関してはそれほど大きな違いはありませんが、自治体がどのようにお金を集めて使っているのかを理解すると、より大きな視点で政治や政策を見ることができるようになります。気になった方は色々な自治体の財政状況をみてみてください。文京つーしんはこれからも皆様の役立つ情報をお送りいたしますのでよろしくお願いします。
◼︎ 詳細情報
参考資料について
- 令和元年度文の京の財政状況
- 京の財政状況参考資料リンク
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