近年頻繁に起こっている災害や経済の悪化で一時的に支出が必要なとき、文京区やその他の地方自治体ではどのような対応をしているのでしょうか。臨時の支出が必要になった場合、あらかじめ決められている予算内だけで対応できるのでしょうか。
そこで今回はそのような臨時的な状況に対応するために文京区が行なっている基金(貯金)についてまとめてみました。
文京区の臨時の財源確保はどこから?
歳入や歳出といった文京区のお金の流れはだいたい掴めてきましたが、災害や経済の悪化で一時的に多くのお金が必要になった場合はどうするのでしょうか。
地方自治体が一時的に資金が必要になったり、高額な費用を払ったりする場合は基金(貯金)の取り崩しや、区債の発行(借金)をして対応します。
これは個人が家や車を買うときに貯金を崩したり、ローンを組んだりするのに似ていますね。では、今回は文京区の貯金である基金からみていきましょう。
文京区の貯金てどれくらい?
文京区の平成30年度末の貯金は672億円あると言われています。その他の地区と比較すると新宿区では508億円、千代田区では1,098億という金額になっています。ただ、金額だけをみてもよくわからないですね。各地方自治体の人口や世帯収入といったミクロなものから、財政、政策といったマクロな側面も関わってくるので一概には判断はつきません。
それでは、基金についてもう少し詳しくみていきましょう。
そもそも基金とは?
まず、基金とはいったいどのようなものでしょうか。人によっては寄付金みたいなものをイメージする方もいますが地方自治体における基金は少し違います。
「地方自治法における基金とは、普通地方公共団体が条例の定めるところにより、特定目的のために財産を維持し、資金を積み立て、又は定額の資金を運用するために設ける財産」になります。
基金の分類としては地方自治体の財産に関するものになるようですね。地方自治体の財産に分類されるものには基金の他に、公有財産(土地及び建物・有価証券)、物品、債権があります。
基金の目的とは?
地方自治体に貯金があればあるだけ安心な気しますが、そもそも地方自治体が貯金をすることにはどのような意味があるのでしょうか。
基金の目的は、年度間の財源調整を図り急激な景気の変動による歳入減や臨時的な歳出増に対応する将来的に起きる可能性のある激甚(げきじん)災害等への備えといえます。
つまり、基金は非常事態時に取り崩しを行うための保険のような役割を担っていると言えますね。以下の30年度積立基金の表を見ると基金が多く取り崩しされている項目として、「財政調整基金」や「学校施設の建設費」、「区民施設設備基金」があります。学校や市民センターのような施設なども金額が多額になるので建て替えや増設には日頃から積み立てる必要がありそうです。
基金の種類とは
では、積立の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。先ほどの表からもわかる通り積立基金には様々な区分がありますね。
一般会計では、基金の大きな分類として「財政調整基金」、「減債基金」と「特定目的基金」の3つをあげています。
では、それぞれの基金の内容についてみてみましょう。
①財政調整基金
財政調整基金とは自治体が財源不足や緊急の支出が生じた場合に備えて「貯金」として積み立てるための基金です。
地方自治体で定額給付金を行う場合などは、この財政調整基金から取り崩しされるようですね。一般的に地方自治体の「貯金」と言われるものが財政調整基金なります。
②減債基金(げんさいききん)
減債基金とは、一括償還など将来の特別区債償還(返済)に備えて積み立てを行う基金です。区債や地方債で借りたお金を計画的に返済するために積み立ています。
文京区の30年度の積立基金では減債基金の取り崩し(調整)がなかったようなのでスムーズな返済ができていることがわかります。
③特定目的基金
特定目的基金とは、施設建設などの個々の目的を達成するために積立を行う基金です。
30年度末現在、文京区には「奨学資金の貸付基金」、「学校施設建設設備基金」、「区民施設設備基金」といった奨学資金や建設に関するものや「子ども宅食プロジェクト」「樋口一葉基金」など文京区ならではの特定目的基金があります。
文京区の当初予算と基金残高の推移
基金の内容についてみてきましたが、文京区の基金の年間の推移はどのようになっているのでしょうか。年度ごとに決められる年度予算と比較してみてみましょう。
総基金の年度末残高は、平成3年度から16年度までは13年間で504億円減少しています。一方17年度以降は、企業業績の回復や納税義務者数の増加等による一般財源の増加により、14年間で502億円増加し、30年度末残高は672億円となっているのがわかります。
平成30年度でだいたい財政調整基金と特定目的基金の合計が年度予算の3分の2ぐらいまであり、積立基金の内容と合わせてみると学校や施設の設備費用ための基金が多くあります。
文京区の区民一人あたりの基金残高と人口の推移
では、文京区の区民一人あたり基金残高はどのようになっているのでしょうか。
人口は21年度から毎年増加を続けており、10年間で約33,000人増加しています。一方区民一人あたりの基金残高は、30年度末現在で30万円となっており横ばいの状況です。基金の内容は様々なので実際には対応できないのですが、ある程度余裕を持って基金の運用ができているため区民一人当たりの基金残高を保っていることができるのかもしれませんね。
文京区の基金(貯金)についてまとめ
区の財産の一部である基金は、将来への積立という点で長期的な政策や都市の開発に関わってくるものであり、緊急時の財政調整をするための資金という側面もあります。文京区民ならばこの点は文京区の政策と合わせて基金の推移もみていけるようになりたいですね。文京つーしんでは、皆様の役にたつ情報を配信しておりますのでこれからもよろしくお願いします。
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