公園や病院、学校といった養育環境の整っている文京区ですが、文京区が行なっている子育て支援事業の「ネウボラ事業」をご存知でしょうか。確かにうちの子たちも「寝坊ら」ですが、、、いえ「ネウボラ」です。そこで今回は、文京区が行なっている子育て支援事業「ネウボラ事業」がどんなものかまとめてみました。
そもそも「ネウボラ」って何?文京区の育児施設?
「ネウボラ」とは、フィンランド語の「Neuvola」のことで、広義では「アドバイスの場」という意味になります。また、狭義では、行政が「妊娠」や「出産」、「子育ての支援」をする拠点のことも「ネウボラ」と言うようです。
今回の文京区が行なっている子育て支援事業も、行政が行う「ネウボラ」のことをさして「ネウボラ事業」とよんでいるようですね。
フィンランドの子育てって文京区の子育てと違うの?
では、フィンランドの子育てはどのようになっているのでしょうか。フィンランドの子育てを「妊娠から出産まで」と「出産から6歳(小学校入学)まで」に分けてみてみましょう。
フィンランドの妊娠から出産まで
フィンランドでは、妊娠がわかるとまず地域の「ネウボラ」を訪れます。「ネウボラ」には助産師の資格を持ち、出産・育児に関する高い専門性を有している保健師が診察室を構えていて、妊婦一人に一人の担当保健師がつきます。この担当の保健師は基本的に、妊娠中から子供が6歳になるまで継続して子育ての支援をしてくれることとなります。
妊婦は、その担当の保健師に通い母子健康手帳の交付や妊婦検診、乳幼児健康診断などすべての支援を受けることができるようになります。
ネウボラの仕組みでは妊婦だけでなく、夫やパートナー、上の子どもも健康診断を受けることとなります。また、担当の保健師は、日頃の生活習慣や出産・育児に向けての不安などを聞き取り、アドバイスなどを行うことで、家族の養育力を高めるための支援もします。
フィンランドの「ネウボラ」というのは、子どもがお腹にいる時から6歳になるまで担当の保健師が家族の心身の健康を支えてくれる「相談役や支援役」のようなものですね。
出産から6歳まで
フィンランドではほとんどの人が公立病院で出産をするため、その情報もネウボラに通知されます。担当保険師は、初産婦には必ず家庭訪問を行い、その他の家庭にも必要に応じて家庭訪問を行いつつ、新生児の検査や産後の体のケア、新生児育児のやり方家庭環境の整え方、兄弟への配慮の仕方、避妊の方法などを夫婦に助言します。
出産から育児まで、初めての体験の両親にはこのような専門家としての担当の保健師がついてくれるのはありがたいですね。
以降、子どもが6歳になるまで少なくとも15回は担当保健師による健康診査が実施されます。予防接種も基本的にネウボラで受けることになります。
「ネウボラ」の目的やメリットってどんなものがあるの?
では、「ネウボラ」があることによってどのようなメリットがあるのでしょうか。
育児不安の解消
育児にあたって「お金の不安」、「イライラや孤独感といった精神的不安」、「不眠や慢性的な疲れといった身体的不安」は、育児にあたってほとんどのご家庭が抱える不安になります。このような不安に対して、専門的な知識や社会保障についてのアドバイスをもらえることで育児に対する取り組みをよくしていけることが最大のメリットと言えます。
パパの育児参加もスムーズになる
妊婦だけでなく、家族全体の相談役として「ネウボラ」や「担当保健師」がいるため赤ちゃんのことも自分のことも、夫婦関係のことも相談できます。
また、妊娠初期の段階から、両親学級や面談などを通し、夫やパートナーの育児参加を強く促すのも特徴です。そのため、フィンランドはヨーロッパで唯一、母親より父親の育児時間が長い国となっています。
児童虐待やSOSのリスクに対応
育児不安や産後の育児疲れからくるSOSに気がつけるのもメリットの一つです。
どうしても自分の子どものことと抱え込んでしまう母親の様子を、産前から担当している保健師がいるために大事に至る前に気づくことにもつながっていきます。
また、そのような育児不安や育児の精神的、身体的疲労から二次的に起こる問題として児童虐待があります。日本で問題を抱える家族は、保健師が訪問しても問題を隠そうとしてドアを閉ざすことが多いそうですが、フィンランドでは反対に、虐待してしまいそうだという夫婦が、自分からネウボラの担当保健師に助けを求めに行くこともあるようです。
フィンランドでは出生率は上がっているの?
フィンランドは、このような子育てに関する制度や福利厚生が良いと言いますが出生率は高いのでしょうか。
残念ながらフィンランドでも出生率は減少傾向にあります。
そのため近年、出生率は「福利厚生」といった社会システムよりもチャイルドフリーの個人主義や家族の解体、あるいは男女平等といったジェンダーニュートラルの観点から議論されることも増えてきているようです。
フィンランドの「ネウボラ」には、出生率への影響というよりは、子育てに対する不安や、それにより引き起こされる児童虐待などの子育てに関する二次的な問題への影響力が高そうですね。日本でも近年、児童虐待などのニュースを聞くことが多いためこのような支援のあり方の必要性が伺えますね。
文京区のネウボラ事業について
では、文京区ではどのようなネウボラ事業が行われているのでしょうか。産前と産後の「ネウボラ事業」サービスについてみてみましょう。
産前の「ネウボラ事業」の子育て支援
文京区が行なっている産前の「ネウボラ事業」には、「ネウボラ面接と育児パッケージの配布」「母親学級」「両親学級」があります。
1.ネウボラ面接と育児パッケージの配布
文京区では、妊娠中の様々な不安を軽減し安心して出産を迎えていただくために、保健師が妊婦のかた全員と面接をします。面接をしたかたには、育児用品が入った育児パッケージがプレゼントされるようです。育児パッケージについて
2.母親学級(予約不要)
第1子妊娠中の方に対し、安心してマタニティライフを過ごせるよう妊娠・出産・育児の講座や実習、ママ同士の交流 が行われています。場所は保健サービスセンター・保険サービスセンター本郷支所で受け付けています。
3.両親学級(予約制)
第1子妊娠中のかたとそのパートナーのかたが体験実習(妊婦体験、沐浴体験)を受けることができます。パパ同士の交流の時間もあります。申し込みは以下の文京区ホームページより可能です。
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kyoiku/shussan/ninshinshussan/neubora.html
産後の文京区「ネウボラ事業」の子育て支援
次に産後の「ネウボラ事業」についてみてみましょう。産後のネウボラ事業には「こんにちは赤ちゃん訪問」「産後ケア事業」「産後交流事業」があります。
1.こんにちは赤ちゃん訪問
赤ちゃんが生まれたらすぐに、「母と子の保健バック」に入っている『出生通知票』を郵送してください。
『出生通知票』をもとに、助産師又は保健師が日程調整のお電話をしてから家庭訪問します。
2.産後ケア事業
宿泊型ショートステイ(自己負担額あり)
出産後「自宅に帰っても手伝ってくれる人がいなくて不安」、「お産と育児の疲れから体調がよくない」など、子育ての支援が必要なかたを対象とした宿泊型事業です。
沐浴指導・相談(予約制)
生後27日以内の赤ちゃんに対する助産師による訪問型沐浴指導・相談を受けることができます。費用は500円で、申し込みは管轄の保健サービスセンターまで。
母乳相談(予約制)
産後119日以内のかたに対し、助産師による母乳相談や乳房ケアが受けられます。訪問型(費用500円、申込は管轄の保険サービスセンター)と外来型があります。
訪問型産後ケア相談事業
★助産師出張相談(予約制)
産後119日以内で育児不安や心身の不調があるかたと赤ちゃんを対象に、助産師による乳房ケアなどの産後の心身ケアや子育て全般の相談ができます。費用は3000円で申込は管轄の保健センターまで。
デイケア型産後ケア事業
★赤ちゃんとママのホッとサロン(予約制)
産後4ヶ月以内で育児不安や心身の不調があるかたを対象に「産後の回復に不安がある」、「育児や過ごし方に不安がある」、「家族などに育児の相談がしにくい」など、子育ての相談支援が必要なかたを対象としたデイケア型の事業になります。費用は無料で管轄の保険サービスセンターに申込みが必要になります。
3.交流事業
おしゃべりルーム・ぷちみるくクラブ(予約不要)
生後3ヶ月以内赤ちゃんと保護者を対象にした保護者同士おしゃべりをして情報交換やリフレッシュする場になっています。保育士による育児相談も受けることができます。場所は保健サービスセンター・保険サービスセンター本郷支所となります。
サタデーパパタイム(予約制)
生後3ヶ月以内の赤ちゃんと保護者を対象に子育てを始めたばかりのパパママ同士の交流会を受けられます。保健師や助産師による育児相談も受けることができます。
産後の骨盤ケア教室(予約制)
産後2〜3ヶ月の産婦と赤ちゃんを対象に産後の心身を整えるために赤ちゃんと一緒に参加できる教室になります。場所や申し込みは、保険サービスセンター本郷支所。
健康診査・健康相談
乳児健康診査、1歳6ヶ月児童健康診査、3歳児健康診査を実施しています。対象の方には個別に通知します。その他、必要なかたには、アレルギー相談や発達健診などもご案内しています。
文京区の子育て事業「ネウボラ事業」まとめ
フィンランドの「ネウボラ」とはいかないまでも、文京区でも様々な子育てに対する取り組みが行われているのがわかりますね。詳細については基本的には管轄の保健サービスセンターに問い合わせてみるのが良いと思いますが、文京区のホームページでは、管轄の保健サービスセンターやいろいろな情報を入手できますのでこちらも併せてご覧ください。
まとめ
いかがだったでしょうか。文京区で子育てをする場合に限らず、世帯数も限られてくる東京では不安の多い出産や育児について行政ではどのようなサービスが受けれるかを知っていたいですよね。文京つーしんでは皆様に役立つ情報を配信しておりますのでよろしくお願いします。
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