文京区音羽は、音羽通りを中心に護国寺から神田川まで講談社をはじめとする様々な企業や店舗が立ち並ぶエリアとなっています。その中には、戦後の政治史や鳩山家の資料を今に伝える歴史的建造物として鳩山会館があります。そこで今回は、こちらの鳩山会館についてまとめてみました。
鳩山会館とは
鳩山会館は、大正から昭和にかけて政治家として活躍した鳩山一郎の邸宅であった場所やそこにある洋館を指します。メインとなる洋館は、関東大震災の翌年の大正13年(1924年)に建てられました。当時はこの洋館に多くの政治家が集まり、応接室で会合が開かれるなど政治の中心地とされていました。
現在の鳩山会館は、平成7年(1995年)に損傷のため大規模な修復工事を行い、1996年6月からは一般公開されています。洋館は、当時としては珍しい鉄筋コンクリート造りとなっており、各所に鳩やミミズクなどの鳥をモチーフとした装飾が施されています。鳩山会館は、その大きさや豪華さ、文京区音羽にあることから通称「音羽御殿」と呼ばれることもあります。
鳩山邸・鳩山会館の修復工事の変化
鳩山邸から鳩山会館として一般公開されるにあたり、以下のような変更がありました。
1階では浴室や台所、居間といった場所が改築され、納戸や特別展示室として変更されました。図中のピンクの色の場所が入口となっており、南側のサンルームから庭園に出ることができます。
2階は、寝室であった場所が一つの大広間となり、書斎や和室が記念室となりました。前室からはバルコニーに出ることができ、音羽通り方面の景色を眺めることができます。
鳩山一郎について
鳩山一郎は、昭和21年(1954年)に日本民主党を結成し、第52代・53代・54代内閣総理大臣を務めた政治家です。政界では、1957年に初の自民党総裁となり日本とソ連の交渉正常化に取り組みました。政界以外では、読売巨人軍の後援会会長なども務めています。
鳩山一郎の家族構成・鳩山家について
鳩山一郎は、父が衆議院議長などを歴任した鳩山和男、母が明治時代に日本の女子教育の基盤作りに活躍した鳩山春子の長男として生まれ、兄弟には東京大学法学部教授となった弟の鳩山秀夫がいます。
鳩山家ではクーデンホーフ・カレルギー伯爵の友愛革命を原点とする「友愛」の精神が受け継がれており、「相互尊重」「相互理解」「相互扶助」の三原則を「友愛主義」としています。鳩山一郎は、日頃から「リベラルは愛であり、この愛は友愛である」としていました。首相就任時には、「官僚政治からの脱却」をスローガンに「大臣公邸の廃止」「護衛警察官の廃止」「平日の競輪、競馬の廃止」などを公約に掲げ、大衆的なイメージをアピールしました。
現在の鳩山家は鳩山一郎の父である鳩山和夫から四代に渡り政界で活躍し、二人の総理大臣を輩出した政界屈指の名家となっています。
鳩山会館の住所・アクセス
次に鳩山会館の住所をみていきましょう。鳩山会館の住所は東京都文京区1-7-1です。音羽通りと小日向台の間にあるため、鳩山会館入口から洋館までは坂となっています。
鳩山会館へのアクセス
【電車の場合】
東京メトロ有楽町線「江戸川橋駅」徒歩7分
東京メトロ鉄有楽町線「護国寺駅」5番出口徒歩8分
【バスの場合】
都営バス「上58」(上野松坂屋~千駄木~千石~早稲田)
音羽一丁目バス停(正門まで50m位です。)
鳩山会館の見どころ
では、鳩山会館はどのような見どころがあるのでしょうか。
鉄筋コンクリートと木造で作られた開放的な部屋
鳩山会館の見どころの一つとして、岡田信一郎が設計した鉄筋コンクリートと木造(屋根部分)で作られた開放的な部屋があります。イギリスの伝統的なアダムスタイルの応接室は、サンルームを挟み庭園とつながっており、庭園の様子を見ながらゆったりとした時間を過ごせます。
岡田信一郎の設計
鳩山会館の設計者は、大正・昭和時代に活躍した岡田信一郎です。岡田信一郎は鳩山一郎の中学時代からの親友であり、第一高等学校、東京大学と同じ学校に通っています。
岡田信一郎は、東京帝国大学建築家を卒業した後、第三期歌舞伎座や旧東京美術館、明治生命館などの設計を担当しています。また、東京美術学校(現在の東京芸術大学)では教壇に立ち、吉田五十八などの後進世代の育成も行いました。
小川三知の和風ステンドグラス
鳩山会館で使われているステンドグラスは、全て日本を代表する和風ステンドグラス師である小川三知による作品となっています。小川三知は、「ティファニー」でステンドグラスを学び、大正から昭和初期にかけて日本にアメリカ流のステンドグラスを広めた人物です。華やかなステンドグラスには鳩や華が描かれており、部屋ごとに異なるステンドグラスは味わい深い雰囲気を醸し出しています。
鳩山会館のまとめ
いかがだったでしょうか。文京区にある鳩山会館は、近年でもドラマなどの場所として利用されるなど人気のあるスポットのようです。こういった身近な建物を見るときにも当時の時代背景などを知るとまた違った楽しみ方が見えてきますね。文京つーしんでは皆様の役立つ情報を配信しておりますので、引き続きよろしくお願いします。
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