
東京都文京区といえば、教育や医療、レジャー施設などが充実した地域として知られています。多様な特色のある文京区は、地域内でもさまざまな産業が発展しています。今回は、そのような文京区の産業についてまとめてみました。
文京区の産業にはどのようなものがあるのか。
文京区は、東京大学をはじめとする大学や研究機関が数多く立地していることから、知識・教育・医療を基盤とした知識集約型産業が発達しています。特に、本郷・湯島地域には大学や大学病院、研究機関が集積しており、それらを中心に医療・ライフサイエンス関連産業や出版・印刷業が発展してきました。また、住宅地としての性格も強く、地域には小売業や飲食業などのサービス業も多く、地域経済を支える重要な役割を担っています。
特色ある産業が生まれてきた土壌
では、現在の文京区の産業は、どのような背景から発展してきたのでしょうか。ここでは、「教育・研究産業」「医療・ライフサイエンス産業」「印刷・出版産業」「観光・サービス産業」の4つに分けて紹介します。
教育・研究産業
江戸時代、現在の文京区周辺には武家屋敷や寺院が多く置かれ、学問や文化を育む環境が形成されました。明治時代以降には、東京大学をはじめとする教育・研究機関が集積し、日本有数の文教地区として発展しました。こうした歴史的背景から、現在では「文の京(ふみのみやこ)」として「文京区」の名にふさわしい地域として知られています。
医療・ライフサイエンス産業
文京区本郷・湯島周辺には、大学病院や専門病院が集積しており、医療機器メーカーや医薬品関連企業との連携を通じて、医療・ライフサイエンス産業が発展してきました。研究から臨床、実用化までを一体的に進められる環境が整っていることも文京区のの特徴となっています。
印刷・出版産業
小石川周辺には、多くの印刷会社や製本所が集まっています。その背景には、江戸時代から神田川や小石川周辺の豊富な水を活用し、製紙や紙加工などが行われてきた歴史があります。さらに、明治時代以降には大学や出版社が集積したことで、印刷・出版関連産業が発展しました。現在では上下水道が整備され、水を利用する環境は大きく変化しましたが、この地域では長年培われた技術や産業が受け継がれています。
小石川の産業についてはこちらの記事でも取り扱っております。
観光・サービス産業
東京ドームシティは、文京区の観光・サービス産業を支える代表的な施設です。プロ野球やコンサート、各種イベントの開催時には多くの来訪者が区内を訪れ、飲食店や宿泊施設、周辺商店街などにも大きな経済効果をもたらしています。また、小石川後楽園や六義園などの観光資源を目的に訪れる人も多く、文京区の観光やサービス業に貢献しています。
資料から見る文京区の産業統計
では、文京区が公表している「第58回文京区の統計(令和7年)」を参考に、文京区の産業構造の特徴について、統計データをもとに見ていきましょう。
東京都23区と文京区産業全体について
令和3年の東京都23区における事業所数は636,132か所で、そのうち文京区は13,907か所と、全体の約2.2%を占めています。また、従業者数は東京都23区全体で10,093,781人に対し、文京区は222,078人で、こちらも全体の約2.2%となっています。
これらの数字は相対的に見ると少なく見えますが、東京都23区全体の面積は約627.5㎢、文京区の面積は約11.29㎢で、全体の約1.8%に過ぎません。そのため、文京区は面積に対して事業所数や従業者数の割合が高く、産業活動が活発な地域であることがわかります。
産業の事業所規模
文京区の産業の事業所規模は、事業所13,907か所のうち、「出向・派遣従業者のみ」の140事業所を除いた13,767事業所を規模別に見ると、以下のようになっています。
・1〜4人:7,879か所(57.2%)
・5〜9人:2,611か所(19.0%)
・10〜29人:2,152か所(15.6%)
・30人以上:1,125か所(8.2%)
このように、1〜4人規模の事業所が全体の約6割を占めており、文京区では中小規模の事業所を中心とした産業構造となっていることがわかります。
産業別事業所・従業者数
次に、産業分類別に文京区の事業所数と従業者数を見ていきましょう。
文京区全体の事業所数は13,907か所、従業者数は222,078人です。このうち、事業所数・従業者数ともに多い産業は以下のとおりです。
卸売業・小売業
卸売業・小売業の事業所数は2,904か所で全体の20.9%、従業者数は37,963人で全体の17.1%を占めています。卸売業では、特に機械器具卸売業の従事者数が11,013人と多いのが特徴です。
サービス業(他に分類されないもの)
サービス業(他に分類されないもの)の事業所数は1,351か所、従業者数は29,798人で全体の13.4%となっています。このサービス業の分類には、政治・経済・文化団体や宗教団体などが含まれています。
医療・福祉
医療・福祉の事業所数は1,042か所で全体の7.5%、従業者数は25,943人で全体の11.7%を占めています。特に医療・福祉分野では、従業者25,943人のうち19,128人(約73.7%)が医療業に従事しており、文京区が医療の集積地であることがうかがえます。
従業者の割合に対して事業所数の多い産業
一方、事業所数が多く、比較的従業者数が少ない産業は、以下のとおりです。
不動産業・物品賃貸業
不動産業・物品賃貸業はの事業所数は1,663か所(12.0%)、従業者数は5,948人(2.7%)です。1事業所あたりの従業者数は平均約3.6人となっており、小規模な事業所が多いことがわかります。
学術研究・専門・技術サービス業
学術研究・専門・技術サービス業の事業所数は1,466か所(10.5%)、従業者数は11,656人(5.2%)です。1事業所あたりの従業者数は平均約8.0人となっています。
宿泊業・飲食サービス業
宿泊業・飲食サービス業の事業所数は1,488か所(10.7%)、従業者数は12,956人(5.8%)です。1事業所あたりの従業者数は平均約8.7人となっています。
このように、文京区では不動産業や学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業など、小規模な事業所が数多く立地していることが特徴です。特に、大学や研究機関が集積する地域性から学術研究・専門・技術サービス業が多く、住宅地やオフィス、観光施設が立地することから、不動産業や宿泊業・飲食サービス業も地域経済を支える重要な産業となっています。
事業所数に対して従業者数の多い産業
次に、事業所数に対して従業者数の多い産業を見ていきましょう。
情報通信業
情報通信業の事業所数は934か所(6.7%)である一方、従業者数は26,257人(11.8%)となっています。1事業所あたりの従業者数は平均28.1人と、他の産業と比べても大規模な事業所が多いことが特徴です。
文京区の情報通信業には、ソフトウェア開発やシステムインテグレーション(SI)、ネットワーク・通信、デジタルコンテンツのほか、教育機関や医療機関向けのITサービスなど、幅広い分野が含まれています。東京大学をはじめとする大学や研究機関、大学病院などが集積する地域特性を背景に、それらを支える情報通信関連企業が立地していることも、文京区の特徴の一つです。
文京区の工業・製造業の市場規模
文京区全体ではサービス業や卸売・小売業などの第三次産業が中心ですが、製造業も地域産業の一つとして受け継がれています。令和3年時点の製造業は、事業所数333か所、従業者数5,569人、製造品出荷額等749億2,631万円となっています。規模は大きくありませんが、印刷・製本や精密機器など、高い技術力を持つ中小企業が多く立地していることが特徴です。
文京区の地域ごとの分類
文京区内で事業所数や従業者数が特に多い地域は、後楽1・2丁目、小石川1丁目、本郷3・7丁目、湯島3丁目となっています。
本郷・湯島地区には東京大学や大学病院、研究機関が集積しており、教育・研究や医療・ライフサイエンス関連の事業所が多く立地しています。一方、後楽・小石川地区には東京ドームシティを中心とした商業・観光施設やオフィスが集まり、サービス業や卸売・小売業などが地域経済を支えています。このように文京区はエリアごとに異なる特色を持ちながら様々な産業が形成されています。
文京区の産業まとめ
いかがだったでしょうか。文京区というと学生街や住宅街のイメージが強い地域ですが、教育や医療をはじめ、出版・印刷業やサービス業など、多様な産業が根付いていることがわかりますね。文京つーしんでは、皆さまの役に立つ情報を発信しておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

































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