文京区関口は江戸時代に東京の上水路が初めて敷かれた場所であり、現在でもその名残が多く残っている地域となってます。そこで今回は、神田上水と繋がりの深い文京区関口にある関口芭蕉庵についてまとめてみました。
神田上水について
まず、現在では神田川の一部となり全貌を知ることはできなくなってしまった神田上水についてみていきましょう。
神田上水は、徳川家康が江戸に入府する際に飲み水を確保するためにつくった小石川上水を三代目徳川家光の時代に拡張したものでした。
神田上水は、井の頭池から始まる流れに全福寺池、妙正寺池の流れを落合で合わせ、関口の大洗堰(おおあらいぜき)で取水して水位をあげ、小石川を経てお茶ノ水、江戸城郭内に入り、神田や日本橋方面に至りました。
神田上水自体は寛永年間(1625年〜1643年)ごろには完成していたとされており、日本初の本格上水道でした。
上の当時の江戸名所図「目白大洗堰」の絵からも上水道が人々の生活と密接に関わっていたことがわかりますね。
江戸の水道管「木樋(もくひ)」
当時の水道管は木でできていたため「木樋」と呼ばれており、木樋は江戸の至る所に張り巡らされていました。実物の木樋や当時の様子は、文京区本郷にある東京都水道歴史館で詳しく見ることができます。
松尾芭蕉について
松尾芭蕉は、「おくのほそ道」などで有名な江戸時代前期の俳諧師です。
松尾芭蕉は、俳諧師になる前の延宝5年(1655年)に神田上水の改修工事に参加しました。改修工事のため、松尾芭蕉が神田上水に関わった時には神田上水はできていました。
松尾芭蕉と土木
では、なぜ松尾芭蕉が神田上水の改修工事に関わることになったのでしょうか。
その理由は、松尾芭蕉の出身に関係があります。
松尾芭蕉は、俳諧師になる以前は伊賀国(三重県)の藤堂藩の武士でした。藤堂藩は藩祖である藤堂高虎以来、築城の土木水利の技術に長じていたため幕府から神田上水の改修工事を任されていました。
そのため、土木に理解のある藤堂藩の武士として松尾芭蕉が神田上水の工事に加わることになったようです。
文京区関口にある関口芭蕉庵について
文京区関口1丁目には、松尾芭蕉に所縁のある関口芭蕉庵があります。
一説によると関口芭蕉庵は、江戸時代の俳人である松尾芭蕉が、延宝5年(1677年)から延宝8年(1680年)まで、神田川改修工事に加わり、のちの「関口芭蕉庵」と呼ばれる「龍隠庵(りゅうびあん)」と呼ばれる庵に住んだと伝えれられています。
この説以外にも神田上水の改修工事の際に芭蕉は工事現場か水番屋に住んだとされ、「龍隠庵(りゅうびあん)」は芭蕉を慕う人々により後に建てられたというものもあります。
芭蕉庵の建物は昭和12年(1937年)3月に近所で起こった家事のため焼失しましたが、同年8月に再建されました。しかし、昭和20年(1945年)には再度戦火で焼失しました。そのため、現在の建物は、第二次世界大戦後の建築となっています。
関口芭蕉庵の文京区内の住所・アクセス
次に関口芭蕉庵の住所を見てみましょう。関口芭蕉庵の住所は東京都文京区関口2-11-3となっています。
関口芭蕉庵のアクセス
関口芭蕉庵へのアクセスは以下のようになります。
【電車の場合】
東京メトロ有楽町線「江戸川橋駅」徒歩15分
東京メトロ東西線「早稲田駅」徒歩15分
【バスの場合】
都バス白61「目白台三丁目」徒歩6分
現在の関口芭蕉庵
現在の関口芭蕉庵は池泉が、湧水により作られたものとなっており、「東京の名湧水57選」に選ばれています。
こちらの芭蕉庵は、当時の様子を再現するため、他の区立公園などのようにあえて手入れを綺麗にはしていません。そのため、虫なども多いので気になる方は虫除けなどを準備しておいた方が良いです。また、現在は立ち入り禁止になっている箇所もあり、それほど広くはないので周りの施設などを観ながら訪れるのがおすすめです。
関口芭蕉庵の周辺について
関口芭蕉庵の周辺にはさまざまな施設がありますので最後にそちらを紹介します。
文京区立江戸川公園
文京区立江戸川公園は、芭蕉庵の南東側に位置しており、神田川沿いにある公園になります。こちらには松尾芭蕉に所縁のある植物などが植えてあり、神田上水の当時の様子を書いた案内板もあるため、関口芭蕉庵と一緒にみると当時の様子を知ることができます。
肥後細川庭園・永青文庫
肥後細川庭園は、芭蕉庵北西側に位置する庭園です。細川家は南北朝時代から続く武家・華族であった家系となっており、こちらは細川家の下屋敷跡に建てられた庭園となっています。綺麗な日本庭園をゆっくり散策したい場合におすすめのスポットとなっています。(肥後細川庭園の特集記事はこちら)
文京区関口芭蕉庵まとめ
いかがだったでしょうか。文京区には、歴史ある施設や博物館が多くあるため、一つの施設を知ると他の施設や地域との繋がりが見えてきてさらに理解を深めることができます。このようにいつも見ているものをより深く知ることでより親しみのあるものになりそうですね。文京つーしんでは皆様の役立つ情報を配信しておりますので引き続きよろしくお願いします。
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。